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気になる記事です『ヘルプマン!!』


男性介護士が重い認知症の老人について語る。「頭は少々故障してっけど……ハートは壊れてねえんだよ!」。家族のことだって心配してるんだという彼の言葉に、老人の孫娘は虚を突かれる▼この老人の好物がカツ丼だったと知った介護士は、もう一度食べさせようと奔走する。かつて競馬に熱心に通っていたことを知れば、予想紙を見せることを思い立つ。あらゆる手を尽くし、ついに老人は笑顔を取り戻す――▼くさか里樹(りき)さんの漫画『ヘルプマン!!』のストーリーである。介護現場を広く取材しているから、創作とはいえノンフィクションのように真に迫る。介護という仕事がいかに深く、創造性に富むかを教えられる▼くさかさんは同じ介護をテーマにした作品で4年前に日本漫画家協会賞大賞を受賞。その続編として昨年暮れから週刊朝日に連載中だ。仕事がきついといったイメージもある中、介護職の素晴らしさをより多くの人に知って欲しいとの思いがある▼作品に登場する一つのキーワードは「生きるスイッチ」だろう。認知症の人は周囲の視線に傷つき、心を閉ざし、いつか自分でスイッチを切ってしまう。それを再び押してあげて、本来の姿に戻す。これぞ介護職の役割だというメッセージが伝わる▼筆者も、優れた介護士さんに出会った経験がある。年配の女性で、笑顔を引き出すのが上手だった。今から思えば、生きるスイッチの押し方を熟知していたのだろう。人のハートは簡単には壊れない、と信じたい。

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